2017年2月27日月曜日

The XX:I See You

 


 いやー、素晴らしい。こんなにも大きくなってくれるなんて。
 デビュー当初、最低限の音数で、暗くて、密室的な雰囲気だったことを思うと、ここまで大きくなってくれるとは、失礼ながら予想だにしませんでした。フジロックで言うならば、レッドマーキーが似合う音から、グリーンステージが似合う音へ成長したわけですな。ポイントなのは、出世によって似合うステージが変わったわけではなく、音の合うステージが変わった、ということです。
 とはいえ、デビュー当初の彼らがかけがえのないものであることももちろんで、あの雰囲気こそが好きだ、という人も多いことでしょう。でも実際問題、いつまでも同じことはやれないわけです。そして今作を聴いて思うのは、ジェイミーXXのソロ作品を経由して、ごくごく自然なかたちで音楽的な幅が拡がった、ということです。ファンとしては、こうした変化は応援したくなるじゃありませんか。
 で、その結果、新しいリスナーも増やして、セルアウトとは無縁に商業的成功を収めるという、一番理想の形が実現できたわけです。全米2位全英1位ですよ。すごい!

 さて、アルバムを聴き始めて最初、文字通り驚きました。1曲目デンジャラスの、あの吹奏楽のフレーズにです。あーびっくりした、ってかんじです。だってエックス・エックスからあの音が飛び出して来るとは、予想できなくないですか?いや、でも、ジェイミーのソロ作品イン・カラーを聴いていれば、また、先行リリースされたオン・ホールドあたりを聴いていれば、予想はできたもしれないすね。
 とにかく思うのは、あの部分でラッパ類を持ってくるところがさすがです。あのフレーズは、メロディラインと同じなんですね。
 次に耳に飛び込んでくるのは、うねるベースです。このベースも少し意外でした(失礼!)。オリヴァーのベースで、ベストプレイじゃないかと思います。
 いやあ、かっこいいですねー。

 デンジャラスを聴いて盛り上がっていると、2曲目のセイ・サムシング・ラヴィングが始まります。この曲はサンプルで始まります。他の曲もそうなんですが、サンプリングがとてもクールです。
 この曲は、アルバムの中で最もロックっぼい曲ですね。テレビ番組の演奏動画を見たんですが、ロミーがダウンピッキングで8ビートを刻んでいる姿はロックです。そしてすこしなんというか、愛嬌というか、そう、少しおもしろいです(失礼!)



 3曲目のリップスからは、エックス・エックスらしさが存分に味わえる、ダウナーなムードの曲が続きます。
 パフォーマンスでは、ジェイミーのビートは聴かれませんが、音響的なヴァイオリンが聴こえてきます。クレジットを見ると、ジェイミーがヴァイオリンを弾いているようなことが書いてあります。ギター、ベース、ヴァイオリンのみのこの曲は、とても幽玄な雰囲気です。ライヴで観たい1曲です。
 レプリカでは、エックス・エックスらしいメランコリアを味わえます。

 先行リリースされていたオン・ホールドで、それまでの空気が変わり、多幸感といいますか、開放的な空気になります。続くアイ・デア・ユーとは1組の曲のようになっていて、この2曲の織りなす高揚感は相当なものです。
 アイ・デア・ユーはオン・ホールドの後、間髪入れず始まります。ロミーとオリヴァーの歌い分け方などもオン・ホールドとの2曲構成で考えられているのではないかと思うこともできます。シンガロングなリフレインのコーラスの前にはsinginとまで歌ってたり、ブレイク後に、キーボードだけをバックにロミーがヴォーカルを取るヴァースがあったり、もう、ライヴでの大団円間違いなしです。いやあ、素晴らしい。音のかっこよさはそのままにスケールアップですよ。

 いやあ、まさに傑作。

 日本盤にはボーナストラックが2曲ありまして、曲としてはこれもいいです。

 さっき、歌い分け方と書きましたが、なんかあるんですかね、決め方が。あとソングライティングのバランスとかも気になります。基本的には、メインでヴォーカルを取ってる人がメインで作ったのかななんて考えてます。
 ヴォーカルといえば、表現力も以前より豊かになっていますよね。まあ、1stアルバムのころは10代だったのかな。声も若いですからね。

 ところで、本作とは少しズレますが、どなたか忘れましたが、ある専門家のレビューで、次のような指摘がありました。
 ジョイ・ディヴィジョンの一種のフォロワーとしてスタートしたエックス・エックスが、このようなかたちで傑作を仕上げてきたため、他のジョイ・ディヴィジョンフォロワーであるインターポールやナショナルは、今後厳しいのではないか。

 という指摘です。インターポールは最近聴いてないのでわかりませんが、ナショナルに関しては、決して前途が厳しいとは思わないすけどね。最近のナショナルの作品ちゃんと聴いてんのか、って言いたいすね。

 とにかく、あらゆる面で、もちろんいい意味で、メジャーなバンドとなったと言えるでしょう。今後も楽しみです!
 また、彼らはたたずまいも独特ですから、さっきロミーの演奏しているところに愛嬌があるなんて言っちゃいましたが、そういうところや、ルックスのデコボコぶりなどもエックス・エックスの魅力ですので、応援したくなりますよね。


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